マンジャロとゼップバウンドは有効成分が同じチルゼパチドで、違いは承認効能です。マンジャロは2型糖尿病、ゼップバウンドは肥満症に承認されています。ウゴービは有効成分セマグルチド(週1回注射2.4mg)の肥満症治療薬です。ゼップバウンド・ウゴービを保険で使うには、BMI27以上で2つ以上の肥満関連健康障害がある、またはBMI35以上といった条件と専門施設での処方が必要で、条件を満たさない方がダイエット目的で選べるのは自由診療のマンジャロまたはリベルサスです。
3剤の関係は、「同じ成分で効能が違う(マンジャロ/ゼップバウンド)」と「違う成分で効能が同じ(ゼップバウンド/ウゴービ)」の2軸で整理すると混乱しません。
本記事は、厚生労働省のゼップバウンド最適使用推進ガイドライン(令和8年5月改訂)とウゴービ最適使用推進ガイドライン(令和8年6月改訂)を一次情報として使います。
効果の比較はマンジャロの電子添文と、チルゼパチドとセマグルチドを直接比較したSURMOUNT-5試験(NEJM 2025)に基づきます。
整理するのは、3剤の違い・保険適用の条件・ダイエット目的で選べる薬の3点です。
📖 マンジャロを処方してもらえる条件(BMI・既往歴)はマンジャロの処方条件、自由診療の費用相場はマンジャロの値段と費用相場をご覧ください。
3剤の違いを一覧で比較
マンジャロ・ゼップバウンド・ウゴービの違いは、有効成分・承認効能・保険適用・維持用量の4点で整理できます。
| 項目 | マンジャロ | ゼップバウンド | ウゴービ |
|---|---|---|---|
| 有効成分 | チルゼパチド | チルゼパチド | セマグルチド |
| 作用する受容体 | GIP受容体+GLP-1受容体 | GIP受容体+GLP-1受容体 | GLP-1受容体 |
| 国内承認効能 | 2型糖尿病 | 肥満症、閉塞性睡眠時無呼吸症候群 | 肥満症、肝硬変を伴わない代謝機能障害関連脂肪肝炎(中等度または高度の線維化を有する場合) |
| 投与方法 | 週1回皮下注射 | 週1回皮下注射 | 週1回皮下注射 |
| 用量 | 2.5mgから開始、維持5mg、最大15mg | 2.5mgから開始、4週ごとに増量し維持10mg、5〜15mgで調整 | 0.25mgから開始、4週ごとに増量し維持2.4mg |
| 保険適用 | 2型糖尿病の治療のみ | 最適使用推進ガイドラインの患者要件・施設要件を満たす肥満症 | 同左 |
| ダイエット目的の扱い | 適応外使用の自由診療(医師判断) | 痩身目的の投与は禁止 | 痩身目的の投与は禁止 |
| 製造販売 | 日本イーライリリー | 日本イーライリリー | ノボ ノルディスク ファーマ |
保険適用の列が最も重要です。ゼップバウンドとウゴービは「肥満症」に承認されていますが、承認されていることと保険で処方してもらえることは同じではありません。次の章で条件を詳しく解説します。
マンジャロとゼップバウンドは同じ薬?
マンジャロとゼップバウンドは有効成分・受容体・用量ラインナップ・注入器が共通で、承認効能だけが異なる薬剤です。日本イーライリリーが2型糖尿病治療薬として販売しているのがマンジャロ、肥満症治療薬として2024年12月に承認を受けたのがゼップバウンドです。ゼップバウンドは2026年5月に、肥満を有する中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群の効能追加を受けています。
承認効能が違うと、処方の枠組みが変わります。マンジャロは2型糖尿病の治療で保険適用され、ダイエット目的では適応外使用として自由診療で処方されます。ゼップバウンドは肥満症の治療で保険適用されますが、最適使用推進ガイドラインが「治療対象となる肥満症以外での痩身・ダイエットなどを目的に本剤を投与してはならない」と明記しており、自由診療のダイエット目的では使えません。
維持用量にも違いがあります。マンジャロの添付文書上の維持用量は5mg(効果不十分なら最大15mg)ですが、ゼップバウンドは4週ごとに2.5mgずつ増量して10mgを維持用量とし、状態に応じて5mgまで減量または15mgまで増量します。肥満症治療では高めの用量を標準とする設計です。
日本人の肥満症患者を対象にしたゼップバウンドの承認試験がSURMOUNT-J試験(Lancet Diabetes Endocrinol 2025, n=225, 72週)で、10mg群でプラセボとの差-16.1%、15mg群で-21.1%の体重変化率が示されています。
同じ有効成分の肥満症試験として参考になりますが、対象者・管理体制が異なるため、自由診療でのマンジャロ使用にそのまま当てはめることはできません。マンジャロの減量データはマンジャロの効果で解説しています。
ウゴービとの違い(セマグルチドとチルゼパチド)
ウゴービはセマグルチド(週1回注射・維持用量2.4mg)を有効成分とする肥満症治療薬で、GLP-1受容体のみに作用します。チルゼパチドがGIP受容体とGLP-1受容体の両方に作用するのに対し、作用点が1つである点が最も大きな違いです。
セマグルチドは、2型糖尿病治療薬のオゼンピック(週1回注射)とリベルサス(経口)と同じ成分です。ウゴービは同じ成分を肥満症向けの高用量(2.4mg)で使う製剤で、ウゴービの最適使用推進ガイドラインにより、ゼップバウンドと同じ患者要件・施設要件が課されています。
効果の比較では、チルゼパチドとセマグルチドを直接比較したSURMOUNT-5試験(NEJM 2025, n=751, 2型糖尿病のない肥満成人, 72週)で、72週時点の体重変化率がチルゼパチド群(10mgまたは15mg)-20.2%、セマグルチド群(1.7mgまたは2.4mg)-13.7%でした。腹囲の変化もチルゼパチド群-18.4cm、セマグルチド群-13.0cmと差が見られ、10%・15%・20%・25%以上の減量を達成した割合もチルゼパチド群が高い結果でした。
副作用の傾向は両剤とも消化器症状が中心で、多くは軽度から中等度、用量漸増期に出やすいと報告されています。効果の大きさだけでなく、保険適用の可否、副作用の出方、費用を含めて医師と選ぶのが基本です。
ゼップバウンド・ウゴービを保険で使える条件
ゼップバウンド・ウゴービを保険診療で処方してもらうには、患者の条件と医療機関の条件の両方を満たす必要があります。厚生労働省の最適使用推進ガイドラインが定める要件は次のとおりです。
| 区分 | 要件 |
|---|---|
| 患者の条件① | 高血圧・脂質異常症・2型糖尿病のいずれか1つ以上の診断がある |
| 患者の条件② | BMI27以上で2つ以上の肥満関連健康障害がある、またはBMI35以上 |
| 患者の条件③ | 適切な食事療法・運動療法の治療計画に基づく治療を、処方する施設で6ヶ月以上実施しても効果不十分 |
| 施設の条件 | 代謝内科・糖尿病内科・内分泌内科・循環器内科・内科のいずれかを標榜する保険医療機関 |
| 医師の条件 | 肥満症・高血圧・脂質異常症・2型糖尿病の診療に精通した専門医の指導のもとで処方 |
| 体制の条件 | 重篤な副作用に対応できる連携体制。心理的サポートへの配慮 |
肥満関連健康障害には、耐糖能障害、脂質異常症、高血圧、高尿酸血症・痛風、冠動脈疾患、脳梗塞、非アルコール性脂肪性肝疾患、月経異常・不妊、閉塞性睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群、運動器疾患、肥満関連腎臓病の11項目が挙げられています。BMI27以上で2つ以上に該当することが条件です。
条件の中で見落とされやすいのが「処方する施設で6ヶ月以上の食事・運動療法を実施しても効果不十分」という点です。初診でBMIの条件を満たしていても、まず生活習慣の治療から始め、6ヶ月後に薬剤の適応を判断する流れになります。保険で使うには、専門施設に通い続ける前提が必要です。
体重を減らしたいという希望だけでは、ゼップバウンド・ウゴービの保険適用にはなりません。条件を満たす可能性がある方は、かかりつけ医に相談し、要件を満たす施設を紹介してもらう方法があります。BMIの区分と減量の必要性の考え方はマンジャロの処方条件で解説しています。
ダイエット目的で選べるのはどの薬?
保険の条件を満たさない方がGLP-1受容体作動薬系で減量目的に検討できる薬は、自由診療のマンジャロまたはリベルサスです。SGLT2阻害薬や漢方薬は別系統として医師が判断します。ゼップバウンド・ウゴービは最適使用推進ガイドラインで痩身目的の投与が禁じられており、自由診療のダイエット目的では処方されません。
| 状況 | 選べる薬剤 | 枠組み |
|---|---|---|
| 2型糖尿病の治療 | マンジャロ、オゼンピック、リベルサス | 保険診療(主治医の判断) |
| 肥満症で保険の条件を満たす | ゼップバウンド、ウゴービ | 保険診療(専門施設・6ヶ月の生活習慣治療が前提) |
| 保険の条件を満たさない減量目的 | マンジャロ(注射)、リベルサス(経口) | 自由診療(適応外使用・全額自己負担) |
自由診療のマンジャロは適応外使用にあたります。日本糖尿病学会(2023年11月28日改訂の見解)は、2型糖尿病のない日本人での安全性・有効性は確認されていないと注意喚起しており、リスク説明と経過観察のもとで使用するのが前提です。処方の可否は医師がBMI・既往歴・服用薬をもとに判断します。
注射に抵抗がある方は経口のリベルサスが選択肢になります。減量幅はマンジャロのほうが大きい傾向がありますが、剤形・服用条件・費用が異なるため、リベルサスとマンジャロの違いで比較してください。SGLT2阻害薬や漢方薬を含めた医療ダイエット薬の全体像は医療ダイエットの薬を徹底比較にまとめています。
費用はどう違う?
3剤の費用は、保険適用の可否で大きく変わります。保険診療のゼップバウンド・ウゴービは薬剤費の3割(年齢・所得により1〜3割)を負担し、自由診療のマンジャロは薬剤費・診察料・送料の全額を自己負担します。
自由診療のマンジャロの相場は、診察料・送料込みで2.5mg×4本が月およそ10,000〜30,000円、5mg×4本が月およそ19,000〜55,000円です(2026年9月3日・編集部調査)。2026年8月1日の薬価改定でマンジャロの公定薬価が25%引き下げられ、自由診療価格も見直しが進んでいます。費用の内訳と総額の考え方はマンジャロの値段と費用相場で解説しています。
保険の条件を満たす方は、専門施設で保険診療を受けるほうが自己負担は小さくなります。一方、6ヶ月の生活習慣治療を経てからの処方になるため、開始までの期間は長くなります。条件を満たさない方は、自由診療で医師の管理のもとマンジャロを使う選択肢になります。
ダイエット目的のマンジャロは適応外使用の自由診療で、標準的な使用期間は3〜6ヶ月以上、週1回の皮下注射を月4回行います。吐き気・便秘・下痢・食欲減退などの消化器症状のほか、まれに急性膵炎・胆嚢炎・胆管炎などが報告されており、診察の結果、処方を見送る場合があります。
キレイパスオンラインクリニックでの取り扱い
| 用量 | 通常価格 | キレイパス初回割 |
|---|---|---|
| 2.5mg | 12,500円 | 8,750円 |
| 5mg | 22,800円 | 15,960円 |
| 7.5mg | 32,300円 | 29,070円 |
| 10mg | 40,500円 | 36,450円 |
| 12.5mg | 47,400円 | 42,660円 |
| 15mg | 53,000円 | 47,700円 |
取り扱いはマンジャロ(2.5mg〜15mg)とリベルサス(3mg・7mg・14mg)で、ゼップバウンド・ウゴービの取り扱いはありません。「キレイパス初回割」はキレイパスで初めて購入する方が対象で、2回目以降は通常価格です(2.5mg・5mgの4本は30%、それ以外は10%割引。2026年9月時点)。回数の縛りはなく、次回発送予定日の5営業日前までの申請で停止できます。
自由診療のため公的医療保険は適用されず、医薬品副作用被害救済制度の給付対象外となる可能性が非常に高い点にご注意ください。診療の流れはダイエット診療メニューを参照してください。
まとめ
- マンジャロとゼップバウンドは同じチルゼパチドで、承認効能が2型糖尿病か肥満症かの違い。ウゴービはセマグルチド2.4mgの肥満症治療薬
- ゼップバウンド・ウゴービの保険適用は、高血圧等の診断+BMI27以上で健康障害2つ以上(またはBMI35以上)+専門施設で6ヶ月の生活習慣治療が前提
- SURMOUNT-5(NEJM 2025・72週)では、チルゼパチド-20.2%、セマグルチド-13.7%とチルゼパチドの減量幅が大きい
- ゼップバウンド・ウゴービは痩身目的の投与が禁止。保険の条件を満たさない減量目的で選べるのは自由診療のマンジャロまたはリベルサス
- 自由診療のマンジャロは適応外使用で、リスク説明と医師の経過観察のもとで使う