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更年期の漢方おすすめ|タイプ別の代表処方を比較解説

更年期症状に用いられる代表漢方処方の比較イメージ

更年期症状に用いられる代表的な漢方は『更年期三大処方』とされる加味逍遙散・当帰芍薬散・桂枝茯苓丸の3処方で、体質(実証/虚証/中間証)と症状タイプによって使い分けます。 西洋医学のホルモン補充療法(HRT)と併用されることもあり、更年期外来の標準選択肢として位置づけられています。

本記事では、日本東洋医学会日本産科婦人科学会 診療ガイドライン厚生労働省e-ヘルスネットの公開情報に基づき、更年期に使われる代表処方を横断比較します。

更年期三大処方の位置づけ

更年期に処方される漢方は多数ありますが、日本産科婦人科学会のガイドラインでも繰り返し触れられるのが以下の3処方です。

処方名適する体質(証)主な症状タイプ
加味逍遙散(カミショウヨウサン)中間〜虚証イライラ・不安・のぼせ・不眠
当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)虚証冷え・めまい・むくみ・疲れやすさ
桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)実証のぼせ・肩こり・下腹部の重さ・月経困難

ここに 女神散(ニョシンサン)柴胡加竜骨牡蛎湯(サイコカリュウコツボレイトウ) を加えた5処方が、更年期外来で頻用される代表的な選択肢です。

「証(体質)」の考え方の詳細は 漢方ダイエット体質診断 で解説しています。更年期症状も体質判定の考え方は同じで、実証・虚証・中間証の軸で処方を選びます。

症状タイプ別:どの処方が向いているか

タイプ① イライラ・不安・不眠が主体 → 加味逍遙散

精神症状(気分の波・イライラ・不安感・不眠)が前面に出るタイプに適するとされる処方です。中間〜虚証向けで、比較的体力は中程度の方に合います。

  • 主な適応症状: イライラ、のぼせ、肩こり、頭痛、不眠、月経不順
  • 構成生薬: 柴胡・芍薬・当帰・白朮・茯苓・甘草・生姜・薄荷・牡丹皮・山梔子
  • 特徴: 「気」の滞りをめぐらせる作用と、「血」を補う作用の両方を持つ
  • 注意: 甘草を含むため、偽アルドステロン症(低カリウム血症、むくみ等)に注意

タイプ② 冷え・めまい・むくみが主体 → 当帰芍薬散

体力低下・冷え・貧血傾向の虚証タイプに適するとされる処方です。若い女性のPMS・月経不順にも使われますが、更年期の「冷え優位」タイプにも広く処方されます。

  • 主な適応症状: 冷え症、めまい、立ちくらみ、むくみ、月経不順
  • 構成生薬: 当帰・芍薬・川芎・茯苓・白朮・沢瀉
  • 特徴: 「血虚」と「水滞」の両方に作用。甘草を含まない
  • 注意: 胃腸が弱すぎる方は胃部不快感が出ることがある

冷え症状の処方選択の全体像は 冷え性の漢方 にまとめています。

タイプ③ のぼせ・肩こり・下腹部の重さが主体 → 桂枝茯苓丸

比較的体力があり、顔はのぼせるが下半身は冷える「冷えのぼせ」タイプに適するとされる実証向け処方です。月経困難・子宮筋腫などの婦人科症状にも使われます。

  • 主な適応症状: のぼせ、肩こり、下腹部の張り・圧痛、月経困難、頭重感
  • 構成生薬: 桂皮・茯苓・牡丹皮・桃仁・芍薬
  • 特徴: 「瘀血(おけつ=血の滞り)」に対する駆瘀血作用。甘草を含まない
  • 注意: 胃腸が弱い方は慎重投与

タイプ④ 気分の落ち込み・不安・動悸が主体 → 女神散

「更年期のイライラ・のぼせに加え、めまいや気分の落ち込みがある」複合症状に使われる処方です。男女問わず使えますが、更年期女性への処方が一般的です。

  • 主な適応症状: のぼせ、めまい、動悸、不眠、精神不安
  • 特徴: 加味逍遙散に比べてより精神症状に寄せた配合
  • 注意: 甘草含有のため偽アルドステロン症に注意

タイプ⑤ 不眠・動悸・精神的な張りつめが強い → 柴胡加竜骨牡蛎湯

ストレスによる不眠・動悸・過敏感を伴う実証〜中間証向けの処方です。「精神的な張りつめが解けない」タイプに用いられます。

  • 主な適応症状: 不眠、動悸、イライラ、過敏感、夜間覚醒
  • 特徴: 鎮静作用を持つ竜骨・牡蛎が配合されている
  • 注意: 実証向けで、虚証には合いにくい

不眠処方の選び方全般は 不眠の漢方 で詳しく解説しています。

処方比較表(5処方横断)

処方名イライラ冷えのぼせむくみ不眠月経症状甘草
加味逍遙散中間〜虚あり
当帰芍薬散なし
桂枝茯苓丸なし
女神散中間あり
柴胡加竜骨牡蛎湯実〜中間あり

◎=主適応、○=補助的に期待、△=場合により、−=主適応ではない

ホルモン補充療法(HRT)との位置づけ

更年期症状への治療選択肢として、西洋医学的にはホルモン補充療法(HRT)が第一選択とされるケースがあります。漢方とHRTは排他的ではなく、以下のような位置づけで使い分けまたは併用されます。

場面選択肢の傾向
HRTの適応・希望がある、のぼせが強いHRT中心。不足分を漢方で補う
HRTが適さない・希望しない漢方中心。症状タイプで処方選択
HRTだけで改善しにくい症状が残る漢方を併用
症状が軽度で日常生活に支障が少ない漢方中心または生活習慣改善

HRTの適応判断・具体的処方は婦人科専門医の診察が必要です。漢方はオンライン診療で比較的始めやすい一方、HRTは対面での適応確認が推奨されます。

効果が出るまでの時間軸

処方主な変化が感じられる時期
加味逍遙散精神症状は2週〜1ヶ月、のぼせは1〜2ヶ月
当帰芍薬散冷え・むくみは2週〜1ヶ月、体力感は1〜3ヶ月
桂枝茯苓丸のぼせ・肩こりは2週〜1ヶ月、月経症状は2〜3ヶ月
女神散気分症状は2週〜1ヶ月
柴胡加竜骨牡蛎湯不眠・動悸は1〜2週

1〜2ヶ月経っても変化がなければ、体質に合っていない可能性があります。自己判断で中止せず、医師と別処方への切り替えを相談してください。

自己判断で避けたいNGパターン

NGパターン理由
ドラッグストアで『更年期にいい』とだけ見て選ぶ体質に合わないと変化が感じにくい・副作用が出やすい
甘草含有処方を複数併用偽アルドステロン症(低カリウム血症)のリスク
高血圧・心臓病・腎臓病がある方が自己判断で開始甘草含有処方は禁忌に該当する場合がある
効きが悪いからと2倍量服用副作用のリスクが大きく増える
他剤との組み合わせを自己判断薬剤相互作用・重複リスクがある

副作用と注意点

更年期漢方で留意したい代表的な副作用:

  • 偽アルドステロン症(甘草含有処方): むくみ、血圧上昇、低カリウム血症による脱力感
  • 肝機能障害: だるさ、黄疸、食欲低下
  • 間質性肺炎: 発熱、乾いた咳、息切れ
  • 胃腸症状: 胃もたれ、食欲低下、下痢

長期服用時は定期的な採血で肝機能・電解質をチェックするのが望ましく、異常を感じたら使用を中止して医師に相談してください。

キレイパスでの処方の流れ

  1. LINEから診療予約(診察料0円)
  2. 医師とビデオ通話で問診(体質・症状タイプ・他の服用薬の確認)
  3. 処方の提案と開始
  4. 最短翌日に自宅へ配送
  5. 再診でのフォローアップ(効果・副作用・切り替えの相談)

費用とメニューは漢方商品ページで確認できます。

まとめ

  • 更年期漢方は加味逍遙散・当帰芍薬散・桂枝茯苓丸の『三大処方』が中心
  • 女神散・柴胡加竜骨牡蛎湯を加えた5処方が頻用される
  • 選び方は体質(実証/虚証/中間証)と症状タイプの組み合わせ
  • HRTと排他ではなく、併用または症状に応じた使い分けが可能
  • 1〜2ヶ月で変化がなければ処方見直しを医師と相談

更年期症状の出方は個人差が大きく、処方選択は体質判定が鍵になります。自己判断せず、医師の診察で自分に合う処方を一緒に選んでいきましょう。

よくある質問

更年期の漢方で一番よく使われるのはどれですか?
『更年期三大処方』とされる加味逍遙散・当帰芍薬散・桂枝茯苓丸が代表的です。体質(実証/虚証/中間証)と症状タイプによって使い分けるのが基本で、一律にどれが最も良いとは言えません。
漢方はホルモン補充療法(HRT)と併用できますか?
医師判断のもとで併用されるケースがあります。HRT単独では対応しにくい不定愁訴(イライラ・不眠・冷え等)に漢方を組み合わせる運用です。ただし必ず処方医に他の服用薬を伝えてください。
漢方の効果はいつから感じられますか?
一般的に2週〜1ヶ月で何らかの変化を感じる方が多いとされます。加味逍遙散などの精神症状への作用は比較的早く、冷え・体力低下への作用は1〜3ヶ月の継続で評価することが多いです。個人差があります。
自分の体質(証)を見分けるにはどうすればいいですか?
体格(がっちり/標準/やせ型)、冷えやのぼせの傾向、疲れやすさ、月経時の症状、胃腸の強さなど複数の指標で判断します。自己判断は難しいため、医師の診察で確認するのが確実です。
効いていないと感じたらどうすればいいですか?
1〜2ヶ月経っても変化が感じられない場合、体質に合っていない可能性があります。自己判断で中止せず、医師に相談して別処方への切り替えを検討します。
漢方に副作用はありますか?
偽アルドステロン症(甘草含有処方)、肝機能障害、間質性肺炎など稀な重大な副作用が報告されています。長期服用時は定期的な採血等でフォローすることがあります。

この記事の監修者

佐藤 花子 顔写真

佐藤 花子

医師・糖尿病内科専門医

糖尿病内科専門医として、GLP-1受容体作動薬・SGLT2阻害薬を用いた肥満症・糖尿病治療に20年以上従事。医療コラムの監修を通じて、オンライン診療における安全な自由診療の普及に協力している。

※本プロフィールは監修医師ブロックのレイアウト確認用ダミーデータです。実在の医師・クリニックを示すものではありません。

参考文献・出典

  1. 女性ホルモンが関連する疾患と漢方治療(日本東洋医学会)(一般社団法人 日本東洋医学会)
  2. 産婦人科診療ガイドライン(日本産科婦人科学会)(日本産科婦人科学会)
  3. 医薬品医療機器総合機構(PMDA)公式サイト(医薬品医療機器総合機構)
  4. 厚生労働省 e-ヘルスネット『更年期障害』(厚生労働省)
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