ピルの吐き気・頭痛・乳房の張り・不正出血などの副作用は、飲み始めの1〜3周期に多く、服用を続けるうちに減っていきます。まれに起こる重い副作用が血栓症で、初期症状に気づいた時点で服用を中止し、受診することが大切です。
ピルの副作用とは、低用量ピルに含まれる卵胞ホルモンと黄体ホルモンの作用によって起こる、服用の目的以外の体の変化です。
本記事では、副作用がいつまで続くか、どのくらいの頻度で起こるかを、国内の添付文書と日本産科婦人科学会のガイドライン(案)の数値をもとに整理します。各情報は2026年9月時点のものです。効果と副作用の出方には個人差があります。
📖 製剤ごとの成分や服用できない人の条件は低用量ピルの種類と違い、飲み忘れたときの対応はピルの飲み忘れで整理しています。
ピルの副作用はいつまで続く?
ピルの軽い副作用は、飲み始めの1〜3周期(約1〜3か月)に多くみられ、服用の継続とともに減っていきます。体がホルモンの量の変化に慣れるまでの期間に起こりやすい症状です。
産婦人科診療ガイドライン婦人科外来編2023(案)は、多くの軽い症状は3周期程度の継続で軽減するとしています。ホルモンの組成や量が異なる製剤へ変更することで解決する場合が多い、とも記載しています。
ラベルフィーユ28錠の添付文書には、国内臨床試験での周期別の副作用発現頻度が示されています。
| 服用の周期 | 副作用の発現頻度 |
|---|---|
| 1周期目 | 38.7% |
| 6周期目 | 12.7% |
| 12周期目 | 8.7% |
出典はラベルフィーユ28錠の国内臨床試験(955例)です。1周期目は約4割に何らかの副作用がみられますが、半年後には約1割まで下がっています。
3周期を過ぎても症状が続く場合や、日常生活に支障が出る場合は、医師が製剤の変更を検討します。自己判断で中止せず、処方を受けた医療機関に相談してください。
吐き気・頭痛・乳房の張りはどのくらい起こる?
吐き気・頭痛・乳房の張りは、低用量ピルの添付文書で頻度が5%以上とされている代表的な副作用です。頻度は製剤と臨床試験の条件によって異なります。
| 製剤 | 悪心(吐き気) | 頭痛 | 乳房の痛み・張り | 副作用全体 |
|---|---|---|---|---|
| ファボワール錠28 | 11.8% | 5.8% | 8.4% | 25.5%(1,011例中258例) |
| ラベルフィーユ28錠 | 29.4% | 15.0% | 19.0% | 50.9%(955例中486例) |
| フリウェル配合錠 | 17.9% | 15.5% | 5%以上 | — |
| ドロエチ配合錠 | 29.8% | 41.0% | — | — |
| スリンダ錠28 | — | 16.3% | — | 95.65%(276例中264例) |
表の数値は、試験の実施時期・対象者・副作用の集計方法が製剤ごとに異なります。数値の大小だけで製剤の優劣を比べることはできません。スリンダ錠28の副作用全体の頻度が高いのは、不正性器出血(89.9%)を含むためです。
吐き気を感じやすい場合は、就寝前や食後に服用する方法があります。頭痛が続く場合や、これまでにない強い頭痛が出た場合は、血栓症の初期症状の可能性があるため受診してください。
ピルの不正出血はいつまで続く?
ピルの不正出血は、飲み始めの数周期に多く、服用の継続とともに減っていきます。ファボワール錠28の添付文書も、不正性器出血は通常、投与の継続中に消失するとしています。
日本産科婦人科学会のガイドライン(案)(平成27年3月)は、ノルエチステロン1mgとエチニルエストラジオール0.035mgの配合剤の国内試験の結果を紹介しています。
| 服用の周期 | 不正出血の発現率 |
|---|---|
| 1周期目 | 35.6% |
| 2周期目 | 25.6% |
| 3周期目 | 19.7% |
| 6周期目 | 13.2% |
同ガイドライン(案)は、不正出血を理由に服用の中止を希望する場合でも、3周期の継続を勧めるとしています。
不正出血は、エストロゲンの量が少ない製剤で起こりやすい副作用です。フリウェル配合錠の添付文書では、不正性器出血の頻度は低用量のLDで60.0%、超低用量のULDで81.1%でした。エストロゲンを含まないスリンダ錠28では89.9%です。
飲み忘れがあると、ホルモンの量が一時的に下がり、不正出血が起こりやすくなります。出血の量が月経より多い場合、2週間以上続く場合、強い腹痛を伴う場合は、医療機関を受診してください。
ピルを飲むと太る?
低用量ピルの服用と体重増加のあいだに、因果関係は確認されていません。日本産科婦人科学会のガイドライン(案)は、服用と体重増加のあいだに因果関係はないとしています。
コクランレビュー(2014年)は、配合型の避妊薬と体重の関係を調べた49件の臨床試験をまとめています。プラセボまたは無治療と比較した4件の試験では、体重増加との因果関係を支持する証拠はありませんでした。同レビューは、影響を判定するには証拠が十分ではないものの、大きな影響は認められないと結論しています。
添付文書には、副作用として体重増加の記載があります。ファボワール錠28では0.1〜5%未満、ラベルフィーユ28錠とスリンダ錠28では1〜5%未満です。添付文書の副作用は、服用中に報告された症状を集計したもので、薬との因果関係が証明された症状に限りません。
飲み始めに、むくみや食欲の変化を感じる人もいます。体重の変化が気になる場合は、服用を始める前の体重を記録しておくと、診察で相談しやすくなります。
ピルによる血栓症はどのくらい起こる?
低用量ピルによる静脈血栓塞栓症の頻度は、年間1万人あたり3〜9人です。服用していない人の1〜5人より高く、妊娠中の5〜20人より低い水準です。
| 対象 | 発症頻度 |
|---|---|
| 低用量ピルを服用していない人 | 1〜5人 |
| 低用量ピルを服用している人 | 3〜9人 |
| 妊娠中の人 | 5〜20人 |
| 出産後12週間の人 | 40〜65人 |
出典は日本産科婦人科学会のガイドライン(案)(平成27年3月)で、米国産科婦人科学会と米国食品医薬品局の報告を引用した数値です。静脈血栓塞栓症は頻度としてはまれですが、生命に関わることがあります。同ガイドライン(案)は、低用量ピルによる死亡率を年間10万人あたり1人以下としています。
静脈血栓塞栓症は、血管のなかに血のかたまり(血栓)ができて血管が詰まる病気です。足の静脈にできる深部静脈血栓症と、血栓が肺に流れて詰まる肺塞栓症があります。
血栓症が起こりやすい時期は?
血栓症は、服用を始めてから3か月以内に多くみられます。ガイドライン(案)によると、静脈血栓塞栓症の頻度は、開始後3か月以内が年間1万人あたり14.3人です。2年目は7.3人、3年目は6.3人、4〜5年目は4.5人と、服用期間が長くなるほど下がります。
添付文書は、4週間以上服用を中断したあとに再開した場合や、別の製剤へ切り替えた場合にも、リスクが上昇するとしています。中断と再開を繰り返すと、リスクの高い時期を何度も経験することになります。
血栓症のリスクが高くなる人は?
血栓症のリスクを高める要因は、年齢・喫煙・肥満・家族の血栓症の既往などです。ガイドライン(案)は、BMI(体格指数)と年齢による相対リスクを示しています。
| 要因 | 区分 | 相対リスク |
|---|---|---|
| BMI | 20〜24.9 | 1.0(基準) |
| BMI | 25〜29.9 | 2.4 |
| BMI | 30以上 | 5.5 |
| 年齢 | 30歳未満 | 3.1 |
| 年齢 | 30〜40歳 | 5.0 |
| 年齢 | 40〜50歳 | 5.8 |
BMIは低用量ピルの服用者のなかでの比較、年齢は服用していない人と比べた値です。長時間体を動かせない状態、脱水、手術の前後もリスクを高めます。長時間の移動では、水分をとり、1時間ごとに足を動かすことが勧められています。
添付文書は、リスク因子の有無にかかわらず血栓症があらわれることがあるとしています。2014年1月の安全性速報は、ヤーズ配合錠の服用者で血栓症による死亡が3例報告されたことを伝えています。3例のうち2例は20歳代以下でした。
血栓症の初期症状(ACHES)と受診の目安は?
血栓症の初期症状は、英語の頭文字をとってACHES(エイクス)と呼ばれる5つの症状です。
| 頭文字 | 症状 |
|---|---|
| A(Abdominal pain) | 激しい腹痛 |
| C(Chest pain) | 激しい胸の痛み、息苦しさ、突然の息切れ |
| H(Headache) | 激しい頭痛 |
| E(Eye/speech problems) | 見えにくさ、視野の異常、舌のもつれ、意識の障害 |
| S(Severe leg pain) | ふくらはぎの痛み・むくみ・赤み |
添付文書は、症状の程度によって対応を2段階に分けています。
- 直ちに服用を中止し、救急医療機関を受診する症状: 足の急激な痛みや腫れ、突然の息切れ、胸の痛み、激しい頭痛、手足の脱力や麻痺、舌のもつれ、急な視力の低下
- 服用を中止し、医師に相談する症状: 足の痛み・腫れ・しびれ・赤み・熱感、頭痛、吐き気や嘔吐
受診するときは、低用量ピルを服用していることを伝えてください。産婦人科以外を受診する場合も同様です。
ピルでがんのリスクは変わる?
低用量ピルの服用により、卵巣がんと子宮体がんのリスクは下がり、乳がんと子宮頸がんのリスクはわずかに上がる可能性があります。ガイドライン(案)に基づいて整理すると、次のようになります。
| がんの種類 | リスクの変化 | 研究の数値 |
|---|---|---|
| 卵巣がん | 下がる | 統合オッズ比0.73。10年以上の使用で0.43 |
| 子宮体がん | 下がる | 5年の使用ごとに相対リスク0.76。効果は中止後30年以上続く |
| 乳がん | わずかに上がる可能性 | 現在または最近の使用者で相対リスク1.20 |
| 子宮頸がん | 長期の服用でやや上がる | 5年以上の使用で相対リスク1.9。中止後10年以上で非使用者と同等 |
乳がんの数値は、デンマークの女性約180万人を追跡した研究(N Engl J Med 2017)によるものです。増加の絶対数は、1年間の使用で10万人あたり13人でした。子宮体がんの数値は、36件の研究をまとめた解析(Lancet Oncol 2015)によるものです。
乳がん・子宮内膜がん・子宮頸がんのある人と、その疑いのある人は、低用量ピルを服用できません。服用中は、子宮頸がん検診と乳がん検診を定期的に受けることが勧められます。
ピルをやめたあと妊娠できる?
低用量ピルを長く服用しても、中止後の妊娠しやすさには影響しません。ガイドライン(案)は、長期に服用しても中止後の妊孕性(妊娠する力)に影響しないとしています。
ガイドライン(案)によると、服用を終えたあと3か月以内に、約90%で排卵が再開します。欧州の調査(EURAS-OC)では、中止後の妊娠率は次のとおりでした。
| 中止後の期間 | 妊娠率 |
|---|---|
| 1周期目 | 21.1% |
| 3周期目 | 45.7% |
| 1年後 | 79.4% |
| 2年後 | 88.3% |
同調査では、服用していた期間の長さと中止後の妊娠率に関係はみられませんでした。添付文書は、妊娠を希望する場合、月経の周期が回復するまで避妊することが望ましいとしています。
ピルと飲み合わせに注意が必要な薬・サプリは?
低用量ピルは、一部の薬やサプリメントと併用すると、効果が弱まったり不正出血が増えたりすることがあります。添付文書で併用に注意が必要とされている主なものは次のとおりです。
- セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)を含む食品: ピルの効果を弱めるおそれがあり、摂取しないよう注意する
- 抗てんかん薬: フェノバルビタール、フェニトイン、カルバマゼピン、トピラマートなど
- 抗結核薬: リファンピシン
- HIV・C型肝炎の治療薬: リトナビル、エファビレンツなど
- 抗生物質: テトラサイクリン系、ペニシリン系
抗生物質については、添付文書とガイドラインで記載が異なります。添付文書は効果を弱めるおそれがあるとしています。一方、ガイドライン(案)は、リファンピシンを除く抗菌薬とのあいだに有害な相互作用はなく、併用可能としています。
ピルが相手の薬の作用に影響する組み合わせもあります。抗てんかん薬のラモトリギンは、ピルとの併用で血中濃度が下がります。ドロスピレノンを含む製剤は、降圧薬の一部やカリウム保持性利尿薬と併用すると、血液中のカリウムが増えるおそれがあります。
トラネキサム酸は血栓を溶けにくくする作用を持つため、ピルとの併用には注意が必要です。詳しくはトラネキサム酸の効果と副作用で整理しています。服用中の薬とサプリメントは、診察時にすべて申告してください。
キレイパスオンラインクリニックでの取り扱い
| メニュー | 種類 | 料金(税込・定期配送・1か月分) |
|---|---|---|
| ファボワール28 | 低用量ピル(経口避妊薬) | 2,950円 |
| ラベルフィーユ28 | 低用量ピル(経口避妊薬) | 2,950円 |
| フリウェル配合錠ULD | 超低用量ピル(月経困難症の治療薬) | 4,150円 |
| スリンダ錠 | ミニピル(経口避妊薬) | 5,050円 |
料金は2026年9月時点で、送料550円が別途かかります。診察料は無料です。自由診療のため、公的医療保険は適用されません。診察の結果、処方を見送る場合があります。ほかの取り扱いと診療の流れは生理・PMS・ピル診療メニューを参照してください。
まとめ
- 吐き気・頭痛・乳房の張り・不正出血は飲み始めの1〜3周期に多く、服用の継続とともに減っていく
- 不正出血は、超低用量ピルやミニピルで起こりやすい
- 低用量ピルと体重増加のあいだに因果関係は確認されていない
- 静脈血栓塞栓症は年間1万人あたり3〜9人で、服用開始から3か月以内に多い
- ふくらはぎの痛みや腫れ、突然の息切れ、胸の痛み、激しい頭痛、見えにくさが出た場合は、服用を中止して救急医療機関を受診する
副作用の出方には個人差があります。3周期を過ぎても症状が続く場合や、日常生活に支障が出る場合は、製剤の変更を含めて医師に相談してください。